季節限定!「ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエール」醸造ウラ話

そよ風の季節から、初夏のさわやかさを感じだす季節。気温もあがり、ビールが美味しくなる日になってきましたが、この度ザ・プレミアム・モルツから季節限定の商品が発売されました。

4月には「そよ風エール」についての醸造家インタビュー記事を公開しましたが、今回は新発売する限定の「ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエール」について特集します。
缶のデザインはすでに公開されているので、どんなビールなのか気になっていた方も多いのではないでしょうか?

そんな「ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエール」の開発ウラ話を、前回に続きビール醸造家の山口豊さんに伺いました。
山口さんのプロフィールなどは、前回の記事をチェック

▼「ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエール」は初夏の開放的な気分を感じるビール

――前回に引き続き、今回もよろしくお願いします。
山口:こちらこそよろしくお願いします。

――海辺のエールは、どんなインスピレーションからできたビールなのでしょうか ?
山口:新しい商品を開発する 際にはコンセプト立案から中味づくりまで、ブランドマネージャーやデザイナーを含めたチームで醸造家も関わって開発しています。
今回は、春から夏にかけて「初夏の開放的な気分」を味わってもらいたいな、という想いをもとに、「夏の開放的な気分ってどんなものだろう?」ということをチームで話し合いを重ねた結果、色々な情景の候補が出た中で、今年のジャパニーズエールは海辺にしよう!となりました。

――その「海辺」は、どんな海辺をイメージされたのでしょうか?
山口:イメージした海辺は、南国の海で広くて開放的で明るい景色です。
日本でも、南方の白い砂浜の明るい海のイメージ。

リゾートで泊まってるホテルのカーテンを開けた瞬間に眼前に広がる海。そんなイメージからインスピレーションを得ています。

――缶のデザインも、白浜のような 海辺のイメージからつくられている のでしょうか?
山口:中味もさわやかな味わいでつくっている ので、パッケージも海辺の明るいイメージになっています。

ザ・プレミアム・モルツは通常「タンブラーシェイプ」を採用した缶のデザインになっているのですが、今年からのジャパニーズエールの限定品はデザイナーを含めたチームで議論を行い、季節感をイメージしたデザインになっています。
海辺のエールは、波打ち際と明るい空のブルーが映えるデザインを採用しており、去年までの限定品のデザインとはちょっと違う展開になっています。

▼さわやかな味わいの秘密

――その、「さわやかな味わい」とは、具体的にどんなものでしょうか?
(海辺のエールを飲みながら)
山口:味わいについては「濃くて存在感がある」というより、「夏の開放感あふれる香り」にこだわりました。
ビールの香りはホップ香と発酵の過程でつくられる 醸造香が合わさったものになるのですが、麦っぽさよりもサファイアホップの香りがしっかり立つバランスにしています。

海辺のエールは特に、一番最初の「香り立ち」にこだわりました。

口に含むと、まず最初に香りが立ち、フルーティで甘みある味わいからかろやかに感じる 余韻・・・というような流れです。
この味わいづくりが一番苦労したポイントです。


――他の〈ジャパニーズエール〉との違いを教えてください
山口:エールビールといえば、フルーティで豊かな香りが特長です。
その香り立ちがビールの魅力を引き立て、飲む人の五感を刺激します。

特にザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉香るエールは、立ち上がるみずみずしい香りで多くの方々にご愛飲いただいております。
今回のザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエールは、暑い夏にぴったりのさわやかなイメージを追求し、グレープフルーツのような柑橘系の香りをしっかりと感じられる商品設計を行っています。

――ひと口目にどんな香りが立つかに注目しつつ飲んでもらうのが愉しんでいただくポイントでしょうか?
山口:そうですね、ひと口目に香りが立って気分があがり、柑橘のようなフルーティさを感じつつ、余韻もかろやかに、という中味になっているのかなと思います。
甘いというよりは、さっぱり冷たいという感じです。

――それはぜひ試して飲んでみたくなる味ですね!

▼特長は、グレープフルーツのような爽やかさを持つ「サファイアホップ」

――海辺のエールには「サファイアホップ」というホップが使われてるとお聞きしましたが、どんな特長があるのでしょうか?
山口:サファイアホップ は、2000年あたりにドイツのホップ研究所が発表した比較的新しい品種です。

ホップは2〜3年ぐらいで新しい品種が出ますが、新しいタイプのホップが出たときにいち早く手に入れて、一品種を単独で使用したビールを試醸 してデータベースとして蓄積していっています。そよ風エールの時は「ハラタウブラン」というホップでした。

――お米の品種みたいな感じですね?
山口:そんな感じです。

――サファイアホップはそんな中でもどういうホップでしょうか?
山口:サファイアホップは、特長が立ちやすいホップです。

柑橘のような香りを立てやすい反面、余韻が残りにくく単調になりやすいため、その特長を捉えつつ発酵で酵母が生み出す フルーティな甘い香りと合わせることで、香りからの甘み、余韻を実現することが出来ます 。
そういう意味では、サファイアホップは簡単なホップではないかなと思います。

――そういったホップの特長を捉えつつ、海辺のエールの味わいをつくられたということですね。
山口:大事にしているのは、なにか一つの特長的な香りだけでを際立たせるのではなく、複雑な香りをバランスよく感じ、心地よい余韻を感じることで 「また飲みたい」と思っていただきたいなというところです。

サファイアホップだけでなく、醸造家はホップの特長を経験として蓄積しているので、そこから柑橘とか熟した甘い果実香 とかつくりたいイメージに合わせてホップを絞り込みます。

海辺のエールのように最初に香りを立たせるためには、ザ・プレミアム・モルツでもやっている「アロマリッチホッピング製法」という製法を行います。
麦汁を100度で熱して苦味と香りを引き出すためにホップを入れるんですが、煮沸工程の最初 に入れると香りが飛ぶため、香りを立たせるためには煮沸工程の1番最後にいれます。
出汁をつくる 際の最後の方に加える「追い鰹」のようなイメージです。

柑橘のような香りはサファイアホップだけで出るものではありません。サファイアホップを中心に他のホップを合わせていき、加えるタイミングと量を調整しながら狙いの香りを実現するのは 非常に難しいところです。
心地よく飲んでもらう「香り立ち」をつくる 工程はとても繊細なので、微妙なバランス調整を繰り返しながら醸造しています。

同じホップを使ったとしても酵母の発酵により味や香りが変わるため、この組み合わせはサントリーだけにしかできないものになります。

――醸造家の緻密なこだわりによってビールはつくられているんですね。
山口:ビールは生き物なので、原料の品質や酵母の状態に合わせて仕込や醗酵での温度や時間のコントロールでつくりこみをしています。
常に変化する品質を見極めながらつくりこみを行っており 、ひとつでも要素が欠けると本当に美味しいビールはできません 。

「ビールは生きているから生ビール」と言われる由縁ですね。

――ありがとうございます!とても勉強になりました!

▼ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエールは、どんなシーンで飲んでほしい?

――このビールをどんなシーンで飲んでほしい、などのイメージはありますか?
山口:大きく2つイメージがあり、

  • 初夏の時期に開放的な青空の下で飲んでもらいたい
  • 梅雨の時期の発売なので、外は曇っているけど気持ちは晴れやかになってほしい

重厚感があるというより「爽快感 」、"爽やかでフルーティな香り、かろやかな余韻"が愉しめる香り・味わいとなっています。

――料理と合わせるというより、そんな「気分」になるために飲むビール、ということですね?
山口:そっちのほうが良いかなと思います 笑
あえて合わせるとしたら、カルパッチョ、オリーブオイル、ゆずポン酢で冷しゃぶなど、夏の食事のようなさわやかなメニューがいいかなと思います。

――最後に、みなさまにひとことお願いします
山口:これから夏に向かって晴れやかで爽やかな気持ちになりたい時に、ぜひグラスに注いでいただいて香りを愉しみつつ気持ちもリフレッシュしていただけたらと思います。

――ありがとうございました!


ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエール
夏の開放感のある香りを感じてもらうため 、サファイアホップを使用し、上面醗酵酵母で発酵させることで実現した柑橘の様な爽やかな香り立ちと、フルーティで軽やかな余韻が心地よく感じられるビールです。

一足早い夏を感じるビールを愉しんでいただけますと幸いです。




【商品情報】
ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉海辺のエール
https://www.suntory.co.jp/beer/thepremiummalts/umibenoale/

取材場所:サントリー 〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野
所在地:〒183-8533 東京都府中市矢崎町3-1
https://www.suntory.co.jp/factory/musashino/

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